※秘め事シリーズでフラウ視点。※大人シーンあり!※いちゃいちゃしたフラテイが描きたくて急遽、秘め事シリーズを作りましたw  ※夏の夜の秘め事の設定です。秘め事何それ?という方はそちらからお読み頂ければ幸いです→夏の夜の秘め事 

満月デート

 今夜は月が綺麗だから……なんてことを頬を赤らめながら言われれば、そりゃぁ、ホイホイ付いて行くけどな……、何も、こんな、高い、所まで……、登らんでも……
「フラウ、ブツブツ言ってないで、あともう少しだから」
 オレの手を握りしめ、テイトが最後の一段へと引き上げる。
「ラストー!」
「はぁ〜疲れた。水を…。いや、酒だ酒!」
「もー。せっかくここまで登ったんだから、まずは景色を楽しめよ!夕焼け色に染まって綺麗だよー」
「そんな余裕あるか! たかがお月見ぐらいで……、鐘楼まで登らなくてもいいだろうが!」
 テイトに連れて来られたのは、大聖堂の天辺に鎮座する鐘楼だ。ここに辿りつくまでいったいいくつ階段を登ったか知れない。おかげで、オレは息を整えるのに必死だ。そして明日は筋肉痛決定。
「しょうがないな〜。ほら」
「おっ! 用意がいいじゃねぇか」
 テイトは背負ってきたリュックの中からワインのボトルとグラス2つ、生ハムとチーズのサンドイッチ、デザートの果物まで取り出した。
「オマエ、どんだけ持って来たんだよ。つうか、テイトまで飲むつもりじゃねぇだろうな?」
「え? 飲むよ。飲むに決まってるだろ。オレが持ってきたんだから。ラブラドールさんの許可は貰ってきたし」
「へ?」
 さては、ノンアルコールを持たされたのか? と、ラベルを見るとアルコールは一応は記入されている。まさか中味はただの葡萄ジュースってことはないだろうな?
 ザイフォンを使って栓を抜くと香りを確かめる。教会の敷地内で生産加工され、土産物としても販売されているワインに間違いない。
「ちゃんとしたワインだって。それより景色が最高だよ! フラウも見てみろって!」
 ここからの景色ならわざわざ見なくても綺麗なことぐらい充分解ってる。ゴーストだった頃に散々町を見下ろしたから。けれど、夕日をバッグに瞳をキラキラさせて町を見渡しているテイトを見るのは初めてだ。
「ちょっと、フラウ、何してんだよ!」
 テイトの太ももに這わせた手を叩き落とされた。
「いや、オマエ見てたらムラムラして」
「いきなり、盛るなよ。変態!」
 変態って、酷い言われようだな。けど、それも否定できない。最近、理性の糸が切れるのが早くて、押さえが利かねぇ。テイトを引き寄せるとギュウッと抱きしめた。
「ちょっと、フラウ、え? マジで?」
「黙れよ」
 オレの言葉で腕の中に納まったテイトはもがくのを止めた。従順になったテイトの唇を塞ぐと舌を……
「え?」
 テイトの方が入れてきた。
「切れるのが早いのはフラウだけじゃないってこと」
 テイトはそう言うとニヤリと笑った。


 昼間は少し汗ばむぐらいに気温は上がるが、夕暮れともなると途端に肌寒くなる。体に服を纏わせたまま、テイトの背後から覆いかぶさるように抱きしめるとテイト自身に指を絡ませる。先走りの露を指先で掬い、後ろの窄まりを解き解すように愛撫する。
「んん……やっ」
「感じちゃってるの?」
 耳元で囁くと喘ぎ混じりに悪態を吐く。
「うう、煩い! はぁ……、もう、いいから、つぅ、突っ込めよ!」
「色気ないねぇ〜。もっと、お願いする感じで言ってみろよ」
 テイトが欲している箇所に軽く押し当てる。少し埋めてみるがそれ以上先に進めず引き戻す。
「ほら、可愛く泣いてみ」
 数回、突くと焦れたテイトの腰が愛撫を強請るように揺れ出した。
「もう、フラウ。焦らすなっ…」
 ぐすっと、涙声交じりのテイトの言葉に突き入れたい衝動に駆られるがグッと堪える。今夜はなんとしてもお願いするテイトを見たい。けっして変態と言われた事を根に持っているわけではないが。
「テイト、言えよ。欲しいって。コレが欲しいんだろ?」
 テイトの耳元を愛撫するように優しく囁くと、瞳を潤ませたテイトが懇願するように泣いた。
「もう、入れてくれよぉ、フラウ。フラウのが欲しぃ……あっ」

ゴォオオオオオオオオオオオン
リン
ゴォオオオオオオオオオオオン
……

 テイトに突き立てるのと同時に、日没を知らせる鐘の音が、鼓膜を破らんばかりに鳴り響いた。
 オレはかまわずテイトへの挿入を繰り返し、テイトの喘ぎ声は鐘の音にかき消された。


「耳がまだおかしい」
 テイトは耳の中に指を入れて引っ張るを繰り返したが治らないとみて諦めたようだ。
 持ち込んだ毛布に二人して包まりながら、グラスの中のワインをすする。
「オマエ、そろそろ鐘が鳴るって解ってたんだろ?」
「はぁ〜? あの状況のオレにそんな余裕ねぇっての。たまたまだよ、たまたま」
「オマエの喘ぎ声を聞き損ねた」
「何言ってんだか……」
「あん時のテイトすっげぇ可愛かったし……。やべっ、なんか、また、ムラムラしてきた」
「食事が先! オレもう、腹ぺこぺこ」
「だな、続きは飯食ってから」
「そうそう、夜は長いんだし」
「で、また、日の出の鐘に掻き消されるのか?」
「ブッハハハ! 笑わすなよフラウ! ワイン、零しただろ……あ、月」
 眩しい光に目を奪われたようにテイトが月に魅入った。そんなテイトに見惚れる。
「テイト…」
「ん?」
 唇を近づけるとテイトはそっと目を閉じた。互いの唇を合わせて抱きしめる。
 どんなにキスしても、抱きしめても、テイトが足りない。欲しくて欲しくて堪らなくなる。
「オレもフラウが足りないみたいだ」
 そう言ってテイトがクスクスと笑った。
「きっと満月のせいかも」
「テイトのは酒のせいだろ? ガキのくせに生意気にワインなんぞ飲みやがって」
「ウー」
 テイトが陽気に狼のポーズを取って威嚇した。
「この酔っ払いが!」
 オレは溜息を吐くとテイトの腕を取り懐に収めた。
「フラウ…」
「あ?」
「満月、綺麗だねぇー」
「ああ」
 思い起こせば、こんなに穏やかな気持ちで満月を見上げるのは久しぶりな気がする。
 ゴーストの頃は鎌が必要以上に疼くから満月の夜はむしろ嫌いだった。
「フラウ…」
「…?」
 今度は何だ? と、テイトの顔を覗き込む。
「フラウがあったかい」
 テイトはそう言って、鼻頭を胸に埋める仕草をした。
 寒くないように肩を抱いてやるとテイトは静かな寝息を立て始めた。
「えっ?」
 おいおいおい。オレが足りねぇんじゃなかったの?
 夜は長いとか言ってたじゃねぇか!
「くっそ!」
 ラブのヤツ! コレを見越してワインを持たせやがったな! 今頃、カストルと鼻で笑ってるに違いない! ったく、あいつら〜!!!
「フラウ……」
「……?」
 寝言か?
「好き」
「!!!」
 寝言でもこの一言は嬉しい!
 無理やり起こして一発かましてやろうかと思ったが、幸せそうなテイトの寝顔に思いとどまった。
「ったく、無防備なんだよオマエは。狼はオレだってのに」
 オレは独り呟くと、グラスのワインを飲み干した。
 ふと、輝く満月が目に入り、眩しくて目を細める。

 ……お注ぎしますよ旦那……

 月にそう言われた気がしてオレはグラスを月に傾けた。
 オレも相当、酔ってるらしい。


end
ふぉおおおおお。安産w! この手のはスラスラ書けるなぁ。やっぱり、フラテイはいちゃいちゃしてないといかんですよ! ラブは正義! っつうかワイン飲みたいっす! w 2013.10.21

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