猛犬注意!「マテ!」
「テイト・・・」
「だめ!動くなフラウ!」
「・・・」
フラウが恨めしそうな目でオレを見上げる。
そんな顔してもダメだよ、フラウ。
「我慢しろよ、そのぐらい」
「我慢できないからホテルに入ったんだぞ!オレは!」
フラウの切羽詰った顔に噴出しそうになったがなんとか堪えて「我慢しろ」と肩をポンと叩いた・・・・・
食事を終えたオレ達は屋台の店主に勧められたホテルへと移動した。
「カペラ、眠い?」
「あい・・・」
カペラは眠い目を擦り擦り返事をした。握った手を離したら崩れ落ちてその場で眠ってしまいそうだ。
「カペラおいで」
「大丈夫・・・」
眠そうに答えるカペラをフラウがひょいっと持ち上げると自分の懐へ抱き上げた。
「カペラ、ホテルはすぐそこだ。そのまま寝ていいぞ」
フラウがカペラに優しく即すとカペラはフラウの肩にもたれて気持ち良さそうに寝息をたて始めた。
「朝、早かったからな」
フラウがカペラの寝顔を愛おしそうに見つめる。
「フラウでもそんな顔するんだな」
思わず呟いたオレの一言にフラウは「何を今更!」とでも言いたげな顔で見つめる。
「あー?オマエ抱いてる時だってこんな顔だろ?」
「バッ、バカ野郎!知らねーよ!」
何を言い出すんだコイツは!
「なーテイト、ホテル付いたらやらせ」
「黙れ!」
オレはフラウの言葉を即効遮った。
通された部屋はこじんまりとして清潔そうだ。
部屋に入るなりフラウがベッドにカペラを降ろそうとしたところをオレは慌てて止めた。
「なんで?」
「眠ったばかりだから、起きちゃうかも・・・もう少しそのままでいたら?」
「・・・それも、そうだな・・・」
カペラが起きたら起きたでフラウにとって都合が悪いと考えたのだろう。素直にカペラを抱いたままソファに腰を降ろした。
「なあ、どのぐらいこうしてればいいんだ?」
「さぁ?」
「それにしても幸せそうな顔しやがって」
「フラウの腕の中は気持ちいいからな・・・」
オレの口から無意識に漏れた言葉にフラウがニヤニヤとスケベ笑いを浮かべた。
「あ、違う、安心するって意味で」
「あっそ」
しまった!すっかりヤツを調子付かせてしまった!
「なあ、テイト・・・。もう、いいか?」
「まだ、ダメだ!いっそのこと今夜はそのままカペラを抱っこしてれば?」
そうだ、そうしろ!そして、オレはゆっくり風呂にでも浸かるとしよう!
「オレはオマエを抱きたいんだよ!」
フラウが拗ねたようにボソリと呟く。
オレはフラウに顔を近づけると軽くキスをした。
珍しくしょ気たフラウを少々、ホンの少しだけ可哀想に思い、キスをしてしまった。ま、そのぐらいはいいだろう。
「テイト?」
「じゃ、カペラをよろしく」
オレはニコッと笑うと浴室へと向かった。
Fin