続・月夜の晩にダンスはいかが…
『好き』なんて簡単に言ってくれるよな。
あ、俺も気軽に言ったんだったか?
しかし、あんな直球でこられたらリアクションに困るっての!
一昨日の夜、俺はテイトに『大好きだ!フラウが居ないと生きていけない!』(テイトはそんなことは言ってない)と告白された。告った本人はしれっとした様子だが告られた俺は対処に困っている。テイトの「好き」がどれに属するのか解らない。
ミカゲやカペラと同程度なのか?それとも恋愛対象としてなのか?後者なら何かしら期待されてたりするのか?
「うーん…」
本日何度目かの溜息。
「なあ…そこで突っ立って溜息付かれると眠れないんだけど」
ベッドに横になったテイトが上目遣い(不機嫌な顔)で睨みつける。テイトの腕の中は当然の事ながらカペラとミカゲが独占している。君達、このお兄さんにそこを譲ってはくれまいか?…
「悪い、起こしちまったか?」
「起こすも何も眠れね〜っつってんの!」
テイトはいつもと変わらず好戦的だ!ホントに俺の事、好きなわけ?やっぱりカペラと同等の好きなのか?
「はは、そうだったな」
「何?狩に行くなら、行って来いよ!」
そう言うと億劫そうにベッドから身体を起こした。
ああ、言葉も投げやりなら態度も投げやり…。
「ああ、言ってくるよ。オヤスミテイト」
俺はテイトの頭を撫でる。これぐらいはいつものことだし大丈夫だよな?っと思ってテイトに微笑むと逆に睨まれた!な、何故だ!俺が氷のように固まるとテイトが腕を払って襟をぐいっと引っ張った。テイトの顔が近いと思った次の瞬間キスされた。
「何?怖い夢でも見そうなのか?」
前にテイトに怖い夢を見ないお呪いだと言ってキスをして以来、俺たちは極たまにキスするようになった。
「バーカ!言ってらっしゃいのキスだろ?この前欲しがってた!」
そういえば言ったような…で、思いっきり蹴り出されたんだよな。
自ら男らしくキスをしたテイトは耳まで赤くして俯いている(実際は深く呆れた溜息を突いている)。なんて可愛いんだテイト!
「なあ、お帰りなさいのキスもあったりするわけ?」
「とっとと行きやがれ!」
「うわっ!」
シュタッとベッドから飛び降りたテイトに部屋から思いっきり蹴り出された。もう少し優しく送り出してもらえないものだろうか?それってオプション?
「さっさと済まして帰って来いよ!」
バタン!!勢い良く部屋の扉が閉まる。
最後の言葉はどういう意味?それって…
目くるめく妄想に鎌が唸りを上げはじめた。
「ヤベ〜な…30人位狩らねーと治まらないか?」
そんなに狩ってたら夜が明けちまう!
俺はにやける顔をいつものクールな男前に戻した。
さっさと狩って帰るとしよう!