蜜月 2
「ん…?」
体がやけに軋む…寝苦しい…と、思って目を開けたら人間のものと思われる首筋あたりが飛び込んできた。
「フラウ…?」
なんだって同じベッドに一緒に寝てるんだよ!
夕べ、オレは不覚にも熱を出し、大人しく寝ようとベッドに入ったんだよな、確か?
なぜ、そのオレの横にコイツが寝てんだよ!しかも、がっちり腕を回されて!オレは貴様の抱き枕か!
「オイ!」
「んぁ?」
「腕をどけろ!重い!」
「ああ、熱は下がったか?」
フラウは腕をどかさずにオレの具合を訊いて来た。
「ん。下がったみたい」
「そうか!」
だから腕をどけてオレを解放しろ!
「フラウ。なんでオマエがオレの隣で寝てんだよ!?」
で、腕をいいかげんどけてくれ!
「オマエが苦しそうにしてるから少しは熱が冷めるかと思ってよ」
フラウはニンマリと笑顔で答える。
「なんだよ、それ!?っあ…」
フラウには体温が無いからか?
「悪い、オレ」
「気にすんなって、オレは巨大保冷剤だからな!」
フラウは目を細めてニヤリと笑った。
腕は相変わらずオレの肩に回されたままだ。オレはもうどけろとは言わない。
「バカヤロウ…そんなこと冗談でも言うな!」
逆にギュッとフラウにしがみ付いた。
「ん…!」
フラウに口を思うように吸われ苦しさから息が漏れる。
オレはそんなつもりは無いのに…
「なんだよ、急に!何、盛ってんだ!?」
フラウの唇が離れるとオレは怒鳴った。
「何でって、オマエが誘ったからだろーが!」
「オレは誘ってなんかね〜」
オレはそんなつもりでギュッとしがみ付いたわけじゃない。
純粋にフラウを…好きで…ゴーストとか関係なく、ずっと傍にいて欲しいから、そういう思いを込めて…
「そんなことはどーでもいい。嫌か?テイト?」
って、そんなことストレートに聞くなよ!答えずらいだろうが!
「…い、」
「嫌か?」
そう訊ねるフラウの顔はどことなくいじけて見える。ちょっと主導権を握ったようで嬉しい。
思わず「嫌じゃない」と言いそうになるが、騙されるなオレ!これもヤツの計算だ!
オレが黙ったままでいるとキスが再開された。オレはいいとも嫌とも言ってないのだが…
フラウは頬を膨らまして真っ赤な顔のオレを宥める様に優しく口付ける。
オレは顔を背けようとするが両頬をフラウの掌で挟まれて身動きが取れない。
ず、ずるいぞフラウ!オレは…
「んん…」
自分のとは思えない声が漏れ、優しかった筈のキスはしだいに大胆になり執拗に口内を動き回る。
結局、オレはフラウに体を預け、与えられる快楽に思考を停止した。
Fin