※兄弟パラレルシリーズ、テイト視点で、おまけ編です。その後ホテルの中でいちゃいちゃしているのをいつものようにダラダラと書いてますorz
※大人シーン有ります。

理想のホテルの過ごし方……?

 フラウとオレは窓に向けたソファに座って、打ち上がる花火と中央の池で催されるショーを眺めた。窓の向こうで花火が上がると照明を落とした部屋が一瞬明るくなる。パッと広がった火花が瞬く間に変化し変色していく。見惚れていると、フラウが膝の上に掛けたブランケットを肩まで引き上げてオレの肩を抱いた。
「寒くないか?」
 耳元で囁かれる言葉にコクンと頷く。っつうか、そんなフラウが恥ずかしくてオレは顔も見れねぇよ。
「寒いだろ?」
 再度聞かれて今度は首を横に振った。だから寒くないって!
 オレが首を横に振ったにも関わらず、フラウはオレの体をひょいと持ち上げるとソファの上で組んだ胡坐の上に座らせた。フラウはオレを抱えるように座り、オレはフラウに覆いかぶさられる状態に。
「なぁ、(この状態)何? オレ、寒くないって言ったよね?」
 正確には言ってはいないが意思表示はしたはずだ。
「気にするな、この方が密着率高くて暖かいだろ?」
 まぁ、確かに暖かい……暖かいけど、この体制は嫌な予感しかしない。
「ほら、ショー見ろよ! すごい水芸だな」
「水芸って、言い方古いよ」
「そっか? じゃぁ、なんて言うんだ?」
「……ウォーター……ショー?」
「まんまだな」
「……」
 水芸よりはマシだと思うけど……と、そんな会話はどうでもいいんだホントは……。ブランケットの中で怪しく動くフラウの手の方が問題だ。
「なぁ、フラウ……手、どけて」
 ブランケットの中のオレは素肌にバスローブという実にシンプルな装いだ。一枚の羽織りを一本の紐で留めているだけなんて、今考えれば「どうぞ好きにして下さい」と云わんばかりの格好じゃないかっ!!! いやいやいや、決してそんなつもりではない! 断じて! シャワーを浴びて……シャワーを浴びた経緯はこの際割愛するが、とにかく、クローゼットを開けたらハンガーに下ってたんで身に付けたまでのこと。オレはこんな格好だけど純粋に夜のパークを楽しみたい! せっかくこんな眺めのいい部屋に替えてくれたんだし、花火とかショーを堪能したい! そんなささやかな楽しみを邪魔するようにローブの合わせ目にするりと指が滑り込んできた。オイオイオイ、ちょっと待てー!!!
「フラウっ!!!」
 低く唸ると左肩上部にあるフラウの顔を睨みつけた。自分では目一杯凄んでみたつもりだったがフラウは目を細めて口の端を軽く上げた。オレの睨みはまったく効果がないようだ……。
「気にするな、ちょっと手持ち無沙汰に愛撫してるだけだから」
 ちょっとしたサービス的ニュアンスで言ってるけど、まったくいらない! むしろ迷惑だ!
 オレの引き攣った顔を宥めるようにフラウは「どうした?」と、覗き込むけど全然心配してる顔じゃない。フラウの薄く笑う口元と連動してオレの胸を這っている手の指先がスッと乳首に触れた。
「ちょっと、マジでやめて! 外から見えるよ! フラウ」
「最上階だから大丈夫」
「わかんないよ! 望遠鏡で抜かれるかも! 絶対見られてないって保証はないんだから!」
 そもそも、なんで、こんなことなってんの? 花火見ようよ! ショーも綺麗だよ!
 オレはフラウの手から逃げるように身を捩ったが、所詮フラウの懐の中、逃げられるわけが無い。
「フラウもオレにちょっかい出してないで花火見ろよ!」
 上がってきた息と一緒に吐き捨てるように言ってみた。これ以上されたら身が持たない。
「……そうだな、望遠鏡でなくとも決して見られていないとは言い切れないな!」
 そうだよ。そうだよ! だから、花火に集中しようよ!
「テイト……」
「な、何?」
 いきなりフラウに低トーンで名前を呼ばれてドキリとする。
「誰かに見られても大丈夫なように平静を装え」
「はぁ〜?」
 何を言ってるのか解らなかったがフラウの手の動きが再開されて理解した。
「フラウっ!!!そうじゃないだろ?!フラウも花火見ろよ!ショーを楽しめ!」
「心配するなテイト。オレなりに充分楽しんでる」
 そう言ってフラウは満足そうに微笑を浮かべた。
 そうじゃなくて一般的な楽しみ方をしろよ!
「テイト、ほら、顔が強張ってる。平静に、平静にだぞ」
 ブランケットの下でフラウの手と散々攻防戦を繰り広げたが、掌の大きさからいってオレの方が断然分が悪い。結局敵わないと悟ったオレは、花火とショーに集中して絶対に反応してやるもんか! と方向転換。全く持って本末転倒だがしかたない。フラウをこれ以上喜ばせてなるものかっ!
 ん? 逆に喜ばせてるのか???
 そもそも、フラウの胡坐の上に素直に座った時点でオレの負けは決まったのかも知れない。くっそっ! 後悔先に立たずとはこのことか!!!


 ショーも終盤。光と水の芸術を園内に響き渡る壮大なミュージックがショーのクライマックスをより効果的に演出している。実に素晴らしいショータイムだった!と、言いたいところだが、終始フラウの指先を意識してたオレは、ショーを堪能することができなかった。
 ショーの最中、園内に流れる音楽に合わせるようにフラウの掌はオレの体を自由奔放に這い回った。おかげでショーが終わると同時にベッドへと移動。ぐったりしたオレをベッドに横たえて窓のカーテンを閉め、ベッドに滑り込むフラウを恨めしそうに睨みつけた。フラウに腹を立ててるにも関わらず、逆にフラウを欲している残念なオレの体……。張り詰めた尖端は触れて欲しくて誘うように透明の雫を垂らしているし、きつく噤んでいたはずの秘部は既に解されひくひくと疼いてコチラもフラウを待ちわびているかのよう……。はっきり言うが、オレの意思とは関係無い!
「綺麗だったなー、水芸、まるで生き物みたいだったな!?」
 フラウの間延びした声が一層、オレの神経を逆なでする。
「フラウの…ばか…やろぅ」
「なんだテイト? 機嫌悪いな。怒ってるのか?」
「も……う……」
 声にならない怒りと体の疼きの所為で吐き出す言葉も切れ切れになる。
「辛そうだな。水、飲むか?」
 そう言って体を起こして自分から離れようとするフラウの腕を咄嗟に掴んでしまった。水じゃなくて……
 フラウは腕を掴んだまま布団の中で丸くるオレの顔を覗き込み、目を合わせるとフッと笑った。オレの体を包み込むように抱くと、中断されていた愛撫を再開した。
 フラウが長い指を秘部に埋め込み内壁を揉むように刺激する。が、肝心のポイントを外され、フラウの指は焦らすような動きをみせた。
 敏感になった体は少しの刺激で反応し、堪えようとすればするほど吐息は口を突いて出てしまう。
「ん……あぁ……」
 わざとだ……
 一方的に高められ、オレが切羽詰ってるのを解ってて焦らしてる。
 ここ数年でフラウに対してひねくれた態度を取るようになっていたオレだが、最近では昔のようにフラウに甘えることも少なくない。とはいえやはりこの状況は屈しがたい!!! オレはフラウに怒っているのだから!!! ここで自ら強請ったらバカみたいだ。
「……くそっ……フラウっ!!!」
 とりあえず自分で処理しようと下に伸ばした手は難なくフラウに阻止された。
「どうして欲しいか口で言えよ」
 耳元で低く囁かれ体の奥がジンと熱くなる。このどうしようもない体の疼きを一秒でも早く止めたい。
 ここは感情を押し殺し、フラウが喜びそうな……、可愛く、おねだり風にか……? ゆ、誘惑をしてだな……
「フ、フラ……ウ」
「ん?」
「さっ・さ・と、し・ろ!」
 しまった!!! オレとしたことが!!! 可愛くおねだりするつもりが、逆に凄んでしまった! これではフラウのSっ気に拍車が掛かって更に焦ら……
「!!!……?」
 焦らされなかった……
 背後から回されたフラウの腕の力が強くなった、かと思うと次の瞬間仰向けにされ、フラウはオレに覆いかぶさった。
 どうやら、オレのお強請りはフラウに覿面に効いたようだ。
 唇を吸われ、フラウの舌が口内を掻き回す。
「んっ……」
 フラウのツボがいまいち解らない。あれで正解だったのか!? フラウの趣味趣向に疑念を持ちながら身を預けていると「オレに集中しろよ」と囁かれ、同時に体を入れてきた。
 既に入念に解された其処はフラウを難なく受け入れ飲み込んだ。ゆったりとした腰の動きは感じてならない箇所を刺激し、吐く息と一緒に自ら耳を塞ぎたくなるような声色が漏れる。
「はっ……あ……フラウっ」
「あんまり、煽るな……止まらなくなる」
 オレと視線を合わせたフラウは薄く微笑むと眦にキスをして、今までのは余興だと言わんばかりに激しく揺さぶった。オレは置いてかれまいと必死にフラウにしがみつき……逝く瞬間にキスをされ……意識が飛んだ。


「悪かった!」
 ベッドの上で膝を揃えて頭を下げるフラウを、オレは半身を起こした状態で見下ろした。ヘッドボードに枕をクッション代わりに立てかけて寄りかかったオレの手にはフラウが甲斐甲斐しく煎れてくれたホットミルクが、それをそっと口に運ぶ。
 激しいセックスは当然、何らかの支障をきたす。オレは微熱と倦怠感で遊園地を諦めた。
「もう、いいよ」
 昨夜、好き放題だったフラウは一変して、反省の色濃く何時に無くしおらしい。
「遊園地にはまた連れてきてよ。今度はカペラも一緒に。ね!」
「ああ、約束する」
 オレに負担をかけた事を悔やんでるフラウが段々と可哀想になり、オレは手にしたカップをフラウに渡すと顔を引き寄せて口付けた。
「ヤバイ」
 唇を離すとフラウが唸るような声を漏らした。
「何? どうかした?」
「……なんでもない」
 神妙な顔つきのフラウが気になってオレは「なんだよ?」としつこく聞くと「怒らないか?」と確認する。
「怒らないよ」
「絶対だな」
 念を押すフラウに頷いた。そんな真剣な面持ちで言われたら気になって仕方無い。まさか、この期に及んで持ち合わせが無いとか言い出さないだろうな? いくらフラウでもカードぐらいは持ってるだろうし、いざとなったらオレのを使えばいい。そういえば今日は平日だ。オレは冬休みだけどフラウはもしや大学があったんだろうか? けど、オレが怒る事じゃないしな……
「………?????」
「…………押し倒したくなった」
 オレは背中に置いてあった枕を掴むとフラウの顔面に叩き付けた。真剣な顔で何かと思えば……
「怒らないって言ったじゃないか! そもそも、久しぶりの逢瀬だぞ、こんなんで満足するか! 昨日だって、あれでも加減……」
 押し当てられた枕の向こうで言い訳を並べるフラウが可笑しくてオレは腹を抱えて笑った。


end


※段々とノリが蜜月中期になってきました……こっちも軌道修正しないと(汗
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