※合同誌宣伝用SSです。
※司教試験前の設定で、フラウ視点です。
コードネームは奇・襲・攻・撃(苦笑)
最近、テイトの様子がおかしい。挙動不審というか、情緒不安定というか、とにかくおかしい。挙句、心なしか避けられてる気がしないでもない。
と、噂をすればなんとやらか……。回廊をハクレンと一緒にこっちへ向かって歩いて来る。
「よお!」
片手を軽く上げながら声をかけるとテイトはクルリと向きを変えて走り去ったいった。
「おい! クソガキ!」
敢えて追い駆けはしないが、万事この調子だ。胸糞悪い。
「おもいっきり避けられてますね」
ハクレンが『気の毒に』と言った表情を作りながら呟いたが、絶対、コイツはこの状況を楽しんでいる。
「フラウ司教、テイトに何したんですか?」
オレが手を出した前提のハクレンに内心、心当たりは無いにもかかわらず、ドキっとするのは多少の下心をオレ自身がテイトに対して持っているからで……。
「な、何もしてないに決まってるだろ!?」
そして、多分、相当、慌てて否定している、オレ。
何かしようにも、避けられているのだからできるわけがないのだが……。
「……まだ、何もしてないと……、傍からみてるととてももどかしいですね」
「は?」
「あ、いえ、独り言です」
ハクレンは意味深に微笑むと「では」と、軽く会釈して去って行った。
なんなんだ、アイツは?
テイトと話したくても、取り付く島がねぇし……
正直、オレだって……
「避けられるのは辛いよ」
そう呟いて、深い溜息を吐いた。
「フラウ、テイト君に避けられてるんだって? ま、これでも飲みなよ。気持ちが落ち着くから」
夕食後のティータイム、温室兼ティールームで、ラブラドールがにっこり微笑みながら、得体の知れないお茶を差し出した。
「おや、ラブラドール、今宵のお茶は甘い香りがしますね。色も淡いピンクで……まるで……誰かさんの恋を思わせるようなお茶ですね」
隣で妙な感想を述べながらカストルがお茶を啜った。
「誰が誰に恋してるって?」
「さぁ? 別に誰とは言ってませんよ。心当たりでもあるのですか?」
ガーデンチェアに深く座ったオレは、カストルの言葉に天を仰いだ。
「ありすぎて、眩暈がするよ」
「自覚があるのなら結構、テイト君の態度を見て何も感じないのであれば、貴方の横っ面を拳で殴るところでした」
オレは慌てて両頬を掌で隠した。
「ふふふ。カストルは優しいよね。因みにオレなら拳で殴った上に逆さ吊りだから」
ラブは笑顔でさらりと怖い事を言う。そして、ラブならやりかねない! 背筋にぶるっと震えが走った。
「とにかく、さっさとケリつけてくださいね。心此処に在らずでは、いざという時に易々と魂奪われますよ」
「……」
「だいたい貴方は物事を楽観視しすぎる。そんなんだから……」
その後、カストルの説教は小一時間程続いた。
テイトに避けられている理由は多分、アレだ。
テイトはオレを意識しまくってる。
何故? って……
それはきっとオレと同じ理由。
テイトが自分の気持ちに戸惑い、オレに会う度に顔を真っ赤にするとか、目が合うと慌てて逸らして俯くとか、そんな挙動が可愛くて愛しくて。そして、どうにももどかしい……
明日はいよいよ、強攻手段に出ることにしよう!
テイトの居場所を鎌で探知し、人気の無い場所で安眠中のところを確保する。
確保した後は……
ノープランだ。
出たとこ勝負で。
テイトはきっと顔を真っ赤に染めて、脱兎の如く逃げようとするから、しっかり捕まえて……
テイトのながい睫毛が微かに震えるのを想像する。
とりあえず、テイトに伝えるべき事を言おう。
オマエが好きだと
end
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