※フラウ視点


裸リボンとチョコレート

「何してんだ? オマエ?」
 一瞬、夢かと思った。寝ているオレの布団の上に素っ裸のテイトが首にリボンを着けて乗っかっている。
「何って、プレゼントだろ? どこからどう見ても!?」
 拗ねているとも照れているとも取れる表情で答えるテイトにオレはどう反応すればいいのだろう?
「プレゼント? オマエが?」
 オレの問いにテイトは大きく二回頷いた。これのどこがプレゼントなのか?ガキの考える事は時に不可解だ。
「不服か?」
 そう言ってテイトはドヤ顔だが、プレゼントってもっと、こう、奥ゆかしくあるもんじゃなかったか?
「なぁ、風邪引くから取り合えず布団の中に入れ」
 そう言うとテイトは素直に布団の中に潜り込んだ。
「で、何がどうしてこうなったんだ? 順を追ってオレに解るように説明しろ」
 首にリボンを巻いてるところからすると本人は真剣に自分がプレゼントであると考えているのだろう。だが、何故その考えに辿り付いたか理解できない。確かにテイトを邪な目で見ていたかもしれないがそれに気付いたところでこの展開はありえない。
「フラウが今朝くれただろ?」
「……???」
「チョコだよ!バレンタインデーの!」
 ああ、やったな、そういえば。昨夜、町でたまたま通りかかった出店屋台にテイトが喜びそうなチョコが売っていたから買って帰ったんだっけ。で、夜も遅いし虫歯になっちゃいけねぇ〜ってんで朝になって渡したが……。ああ、今日はバレンタインデーか。
 テイトはぽつりぽつりとこうなった経緯を話し始めた。
「フラウにチョコ貰うなんて思ってなかったし、オレ、何も用意してなくて、それにフラウはチョコ食わねーだろ?」
 あのチョコに特に意味など無かったが貰ったテイトは少なからず悩んだということか。だからと言って裸にリボンはマニア過ぎるだろ?
「前に、フラウが読んでた雑誌に……」
 オレの読んでた雑誌?
「裸にリボン着けた女の人が載ってて……」
 ああ、そんな写真はいくらでも載ってる……。が、何となくこの後に明かされる謎が怖くなってきたな。おい。
「オレがそんな写真のどこが面白いんだよ?って聞いたら……」
 その先は言わなくても大体検討は付く。どうせ、オレのことだ「大人になったら解るさ」とでも言ったんだろう?
「大人になれば解るって……」
 ほらな。
「それで、もし……」
 もし?
「テイトがこの格好でオレの前に現れたら、男のオマエでもオレは有難く受け取ってやる!って……」
 おいおい。
「フラウが言った!」
「ちょっと待て! 言ったか? オレが?」
「言ったよ! それぐらい、裸にリボンは男のロマンだ!って」
 ああ、それは例えで言ったまでのことで……
「嘘吐いたのか?」
「いや、嘘じゃないが」
 まさかテイトがそれを実行するとは思わなかったよ!
「で、どうすんの?」
「ええ???ど、ど、どうするって」
「何かプランがあんじゃねーの? 裸にリボンは男のロマンなんだろ?」
 目の保養にはなるがそれをどうこうするとは考えてもない。そうだ、裸にリボンはあくまでグラビアの世界であって3次元で起こるとは想定外だ。
「ま、フラウがコレで満足ならオレは別にいいけど」
「あああああ、ちょっと待て!」
 オレがもたもた考えあぐねている間にテイトは布団から出ようとした。それを慌てて押し留める。
「何だよ?」
「何してもいいのか?」
「いいけど?プレゼントだからな」
 テイトは何度も言わせるなとでも言いたげに呆れた溜息を漏らした。
 どう見たってプレゼントとしての態度じゃねえだろ?
「……テイト、チョコはまだあるか?」
「あるよ」
 テイトにチョコを取ってこさせるとそれを口に咥えるように命令(お願い)する。
 中々の壮観だ。裸リボンでチョコを咥えて。グラビアの姉ちゃんよりずっとそそられる。
「そのチョコ、まだ食べるなよ」
 チョコで口を塞がれたテイトが小さく頷いた(ギロっと睨まれる)。
 オレは横になるとテイトにおいでと手招きをした。
「ここまで来て食べさせて」
 テイトは頬を染めると首を小さく横に振った。
 今更恥ずかしがるな。お願いしているオレの方が恥ずかしい!
「早くしないとチョコが融けるぞ」
 おずおずと近付いてくるテイトの顔、チョコを噛む唇の端から垂れる涎を舐め取った。
「!!!」
 驚いて腰が引けるテイトの腕を掴んで自分に引き寄せる。
「ほら、チョコ食べさせて」
 意を決して唇を近づけるテイトの為に、唇を薄く開いてやる。正直、ニヤケ顔を抑えるのに必死だ。
 テイトから口移しでチョコレートを受け取り、そのままテイトの唇も奪い取る。容赦なくチョコレートが融けるまでキスを堪能すると漸くその唇を離した。とたん、テイトの罵声が耳を劈く。
「信じらんねぇ。いい大人がいたいけな子供にこんなことさせて喜ぶなんて!」
「だー!!!首にリボン巻いてるオマエが言うな!」
「うるせぇ!」
 断っておくがオレはテイトに無理やりやらせたわけでは無い。そして、このやり取りもオレの腕の中で行われている。
 ということは当然……
「……」
「……続きするか?」
「する」
 素直に頷くテイトの唇を再び塞ぐと素肌に指を滑らせた。
「脱がす手間が省けていいな」
「フラウ、オヤジ臭い……」
「……」
 今夜はやけに辛辣な態度のテイトだが、照れ隠し?
 だよな?


end
ぎゃーすっ!!!書いてるワタシが一番恥ずかしい!!!素に戻ったら負け!と心の中で何度唱えたことか!www すみません、取り乱しましたwww実は、拍手コメントにて頂いたリクエストSSです。 たぶん思い描いたストーリーと違うと思いますが、私が書くとこうなります……www(笑ってごまかすしかない)リクエストありがとうございました〜!

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