※テイト視点です。



プレゼント

 ふと今日は自分の誕生日だということに気が付いた。昔、子供の頃、大きいケーキとロウソクで祝って貰ったのを思い出したから。それをフラウに言ったら「プレゼントは何がいい?」って聞かれたけど別に何もいらない。欲しいものは何も無い。強いて言えば会えない人達にもう一度会いたい。そんなこと言ったところでどうにもならないのは解ってる。だから「いらないよ。モノじゃないんだ。オレが欲しいのは……」そう言ったらフラウにホークザイルに乗せられてどこかの丘の天辺に連れてこられた。夕焼け色に染まる町とその向こうに赤と紺と不思議な輝きを放つ海。水面に浮かんだ太陽は眩しくて、でもそこから輝く光で空は綺麗なグラデーションになってどこまでも伸びて……。ふぅ。溜息がでた。
「綺麗」
「間に合ったな」
「何コレ? プレゼントのつもり?」
「ま、そんなとこだ。気に入ったか?」
 コクンと頷いたオレをフラウは自分のコートの中に引き入れた。暫く無言で夕日が沈むのを見つめた。太陽が沈んだ後の空の色も綺麗だ。いつまでも眺めていたいところだが丘を駆け抜ける風は冷たい。急に寒さを感じてミカゲを抱きしめた。
「帰るか?」
 フラウがホークザイルに跨ると慌ててその後ろに飛び乗った。
「帰ったら特大のケーキ食うか? ローソクも立てて」
「ローソクは要らないよ」
 腹は減ってなかったがケーキを思い浮かべたら急に食欲が沸いてきた。フラウは甘いのは苦手だから特大ケーキは独り占めだ。あと特大のハンバーグも食べたい! ぐぅ。と、オレのお腹が鳴ったのを聞いてフラウが大笑いした。
「ケーキとハンバーグだけじゃ足り無そうだな。あ、そうだ! プレゼント最後の仕上げはオレだから」
「あー、それも要らない」
 フラウのことだそんなオチを用意しているだろうと予測はしていた。
「遠慮するな」
「ホントに要らないから」
 ホークザイル上での「貰え!」「要らない!」そんなくだらないオレ達のやりとりとは関係なく、茜色の空はとても綺麗でどこまでも続いていた。父さんやファーザー、みんなのところまで続いているのかな? 父さん達が眺めている姿を想像した。父さんとファーザーと手を繋いで真っ赤な夕日を眺めた……。これは想像じゃなくて記憶だ。フラウが夕焼けを見せてくれたおかけで忘れていた暖かい記憶が甦った。昔、子供の頃、みんなで見上げた空は今日と同じように綺麗で……オレは同じ様に溜息を吐いていた。
「フラウありがと」
 フラウの背中に額を押し付けて呟いた。きっと風でフラウの耳には届かない。
「なんか言ったか?」
 ほら。
「なんでもない……」
 夕焼けという、フラウの思いがけないプレゼントのお礼を考えて、考えて……、結局フラウの言うプレゼント最後の仕上げも受け取ってやることにした。
 
 やっぱり断るのは失礼だよな……プレゼントだもんな……



end



甘い。甘い過ぎでしたか?
何はともあれ

テイト〜はぴば〜〜〜〜!!! ダイスキだよ〜〜〜〜!!!! ここまで読んでくれた貴方もダイスキさ〜〜〜!!!!!