※連載終了後の妄想です。テイト2歳でハクレン視点です。

ピクニック日和

 穏やかな、とある日。久しぶりに顔を合わせた面々は、各々の近況を語りながら持ち寄った菓子や料理に手を伸ばした。
 生まれ変わって人生リスタート中の我が友は、無邪気にミカエルの瞳を玩具代わりにミカゲと楽しそうに遊んでいる。
「……」
 テイトがニッコリと笑って手に持った羽根をオレへと寄こした。
「くれるのか? ありがとうテイト……」
 って、これ、ミカゲの羽根じゃ? 毟っちゃまずいだろう? 落ちてた羽根? なら、いいが……
 昔なら声に出して、そう突っ込むところだが、今は心の中でだけ。口に出して言ったところで反応は無いのだから……。ふと空しくなって、くだらない言い合いをした頃が無性に懐かしくて、同時に切なくなる。
『心に仕舞わないで、昔のように声に出して言えよ……』
「えっ?!!!」
 一瞬、フラウ司教の声が聞こえたような気がして辺りを見回した。
 そんなはずは無い。あの時、鎌となってテイトと共に扉の中へと消えたのだから……
「フラウ…」
 えっ? テイト、今なんて言った?
 テイトはフラウと呟きながら目の前の空を手繰り寄せるような動きを見せた。
「フラウ! あなたは、また、仕事をサボって……。息抜き息抜きって……え? 仕事は終わったんですか? 本当に?」
 そうカストル司教が話しかけるその先は、テイトが手を伸ばしてる空間だった。
「ふふふ、フラウが傍に来るのも解らなくはないよ。可愛いものね〜。テイト君」
 ラブラドール司教もそう言って微笑んでいる。
 まさか……
「テイトに悪戯したら許しませんよ」
 クロイツ司教まで?!
「其方が見守っていればテイトも安心だな」
 オウカ様にも?!
 私以外の人間には見えるというのか?!
「ハクレンには見えぬのか、フラウ司教の姿が」
 やはり〜〜〜!!!
 私以外の人間にはフラウ司教の姿が見えるというのか?!
 オウカ様は心底残念そうに言うが、いくらフラウ司教とはいえ幽霊の姿では、見えない方がいいのではないか?
「私にも見えませんのよ」
 そう言ってミレイヤ様もにっこりと笑った。
「不思議ですわね。テイトが生まれて間もなく空中に手を振る仕草をして。そしたら、皆さんにはフラウ司教の姿が見えるって言うんです」
「それはつまりフラウ司教の怨念がテイトに取り付いているという……」
『ちげーよ!』
 また、フラウ司教の声が聞こえた。聞こえるというより直接、脳に届いている感じだ。
「たぶん、それは…」
 クロイツ司教の説明によれば、カストル司教らはゴーストだった昔のよしみでフラウ司教の姿が見えるらしい。テイトとオウカ様はそれぞれ、瞳の力で見えるとのことだが……
 見えたところで……幽霊……じゃ、ないのか?
「幽霊じゃねーぞ。死神だ」
「うわっ!」
 突然目の前に黒いフードを目深に被ったフラウ司教が現れた。
「なんだ、実体化できるんじゃないですか」
 カストル司教は呆れ口調だがとても嬉しそうだ。
「まあな、オレぐらいになると、出来ねー事がナイぐらいだぜ。ま、これも(実体化)最近できるようになったんだが」
「あ、あ、あ、あの、フラウ司教? ほんとに?」
「元気そうだなハクレン?」
 黒いガウンの中から腕が伸びてきてオレの頭に触れた。
「ぅっわぁ! さっ、さっ、触ったら死ぬとか、そういうのあるんじゃっ!?」
「ははは。ないない。そういうのナイから安心しろ! その物騒なものをまず仕舞え! な!」
 オレは咄嗟に手にしたバクルスを仕舞った。うっかりザイフォン放つところだったよ。っつうか、心臓に悪いな、この人。
「ははは、驚かせて悪かったなハクレン。おっと、もう次の仕事の呼び出しだ」
「もう、行っちゃうの?」
 ラブラドール司教の残念そうな顔と
「どうせまた、すぐ来ますよ。さっさと仕事に戻りなさい!」
 呆れ顔のカストル司教。
 また、この三人の掛け合いが見れるなんて! 夢みたいだ!
 ぼうっと見惚れていると、フラウ司教はスッと空間を飛ぶように移動して、テイトの傍へと降りた。
「行ってくる」
 フラウ司教はそう言ってテイトの頬にキスをすると、テイトもフラウ司教の頬にキスを返してニッコリと微笑んだ。
 テイトには解っているのだ。幼いながらもフラウ司教が自分にとって大事な存在であるということが。
 フラウ司教は「じゃあな!」と片手を上げると、次元を移動するかのように一瞬で見えなくなった。

 フラウ司教が去った後も司教の話を酒の肴に宴は続いた。思い出話や、度々テイトの元へとやってくるフラウ司教をクロイツ司教がせっせと追い払うとか……そんなに頻繁に顔を出しているのか、あの人は。
 フラウ司教は今頃、この空の下でくしゃみをしているにちがいない。
 オレは雲が緩やかなに流れていく青空を振り仰いだ。

end
とまぁ、こんな感じに纏めてみましたが、いかがだったでしょう? ラブラブなフラテイには程遠いですが…orz 絶対、くっつけて見せます!2013.09.08

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