※フラウ視点です。
※大人シーンありますが回避ボタン付けました。
キミが解けてなくならないように
テイトのバカが風邪をひいた。
真っ赤な顔をして苦しそうに息を吐く。その姿が痛々しくて見てると眉間に皺が寄る。
「まったく、いいかげん自己管理をしっかりしろよ」
「ごめん、フラウ……」
「いいから大人しく寝てろ」
「ん」
寝ろと言っているのにテイトはオレの顔色を窺うように見つめている。
「怒ってないから」
怒っているように見えるのはテイトのそんな姿を見てるのが辛いからで……、オレは眉間の皺を指で伸ばして無理やり笑顔を作った。
「いいから寝てろ」
そう言ってテイトの額に掌を乗せると、ようやく安心したのか目を閉じた。
額にあてた掌からテイトの体温が伝わってくる。熱が酷く高い気がする。高熱を発するのは体内の毒素や悪質な細胞、ウィルスを破壊する為だと何かの文献で読んだかシスターに聞いたか、覚えていないがそういった作用があるらしい。だけど、高熱でテイトの小さい体が解けてしまわないかと不安になる。
テイトの額から髪を梳くようにそっと撫でてやる。
「フラウ、カペラは?」
再びテイトが目を開けた。
「あ、オマエ、いいかげん寝ろって」
両手でテイトの顔を挟むと軽く睨みつけた。
テイトは瞳を潤ませて上目遣いにオレを見上げている。上気した頬と相まってなんとなくエロい。って、何をオレは不謹慎なことを考えているのか! 慌てて視線を逸らすとテイトが苦しそうな声でぼそりと言った。
「カペラは?」
「隣の部屋のソファーでミカゲと大人しく寝てる」
「そ、良かった……」
ああ、ホントに……
実はカペラを大人しく寝かせるまではひと悶着あったのだ。
カペラは自分のザイフォンでテイトの風邪を治すと言って譲らず、イラッとして『こんな時にオマエ(カペラ)まで倒れたら、やっかいだ。頼むからこれ以上面倒起こすな』と心無い言葉をぶつけてしまった。
『ごめん。カペラ、そうじゃないんだ。テイトの風邪なんざ寝ればすぐ治るから、だから……』
声を荒げたオレに怯えてしまったカペラを慌ててフォローするも手遅れで、目にたっぷり涙を溜めている。
『お兄ちゃん、困らせてごめんなさい』
そう言ってカペラの目から大粒の涙が落ちた。
ああ、泣かせてしまったか……
どっぷり自己嫌悪に陥るが落ちてる場合じゃない。ギュッとカペラを抱きしめると居間にあるソファに抱っこで連れて行く。
『今夜はここでミカゲと一緒に寝られるな? カペラ』
『あい』
『さっきは怒鳴って悪かったな』
オレの言葉にブンブンと首を振る。そんなカペラに微笑むと額におやすみのキスをした。
それが、ほんの一時間前の出来事。今頃はぐっすり夢の中だろう。
「何かあった?」
浮かない顔のオレを心配してテイトが声をかけた。
「ちょっとな」
どうもオレはテイトの事となると余裕が無くなる。いつかそれが徒となって取り返しの付かない事になるかもしれない。
「フラウ」
熱い息を吐くのと一緒に名前を呼ばれて我に返った。
「なんだ? 苦しいのかテイト?」
「熱い……」
辛そうなテイトの顔が妙に色っぽくて邪な気持ちがムクムクと沸き起こる。不謹慎なのは重々承知だ。
「添い寝でもしてやろうか?」
半分冗談で半分本気。なのにテイトはコクンと頷いた。マジで?
「バーカ、冗談だよ。病人は大人しく寝て治せ」
オレの理性が働いているうちにさっさと寝てくれ。
「フラウ」
テイトにコートの袖をしっかり捕まれ固まった。
誘っているのか単なる保冷剤が欲しいだけなのか……おそらく後者だろう。
「はぁー」
大きく溜息を吐くとコートを脱ぎ捨てベッドへと潜り込んだ。
(此処から先、大人シーン)→
回避!
テイトの熱い体を懐にすっぽりと納めるように抱きしめると素肌に鼻頭を擦り付けてきた。
コイツ〜〜
「気持ちいい」
ピタッと体を密着させてそんなことを呟かれてはオレのなけなしの理性だってどこかへ飛んで行くってもんだ。
人の気も知らないで……
段々無防備なテイトに腹が立ってきた。少し意地悪してやろうと背中に回した手を服の中へ滑り込ませる。
「フラウ?」
「この方が冷たいだろ?」
済ました顔で言ってやる。
「う、うん?」
疑問系だ。うすうす地雷を踏んだと感付いているのかもしれない。それならそれで自己防衛するんだな。
素肌に這わせた手を背中から脇腹へと滑らせると懐の中のテイトの体がビクンと跳ねた。
「フラウ?」
「……」
脇腹から更に下ると秘部に指を押し当てる。此処も熱い。中はもっと熱いのだろう?
「フラウっ!」
「此処も冷やした方がいいんじゃないか?」
「そこはいい!」
「遠慮するな」
ベッドの脇に投げ捨てたコートのポケットをゴソゴソと探ると小瓶を取り出した。
「ちょっと待って……」
「冷やすだけだ」
本当にそれだけだ。自分にも言い聞かすように優しく言ってやる。病人に突っ込むわけにはいかないからな。
悪戯心は当然あるが……それぐらいいいだろう?
つぷり……オイルを垂らした指を埋め込む。
「やっぱり熱いな。どうだ、冷たいか?」
「んん」
テイトは照れているのか感じているのか、顔をオレの胸に押し当てたまま体を震わせている。
しかし、本当に熱い。此処を冷やすのは体のどこよりも効果的なのかもしれない。指をさらに深く押し入れる。
「も、やめ」
「痛いか?」
「痛くないけど……なんか変に……なるから」
ああ、そっち。テイトの体の反応に目を細めた。
テイトの顔を自分に向かせると唇を合わせる。抗う力は無いのだろう、素直にオレを受け入れると自ら吸い付いてきた。当然、口の中も熱い。少しでも冷ましてやりたくて進入させた舌で口内を掻き混ぜた。同時に体内に埋め込んだ指がキュッと締め付けられる。
「テイト?」
「フラウの舌、冷たくて……」
気持ちよかったのか。
テイトの中心は堅さを持ち始め、オレは段々と居た堪れなくなってきた。
「熱い……」
テイトに涙目で訴えられる。そりゃ、簡単にはこの火照りは納まらないだろう。いっそのこと一回抜いてしまったほうが楽になるか。
「テイト、反対になれるか?」
「うん」
テイトが体の向きを変えると後ろから抱え込むように抱きしめる。背中から放射される熱を奪いながら手を前に持っていき、やんわりと中心を包み込む。
「アッ」
指を絡めてゆっくりと扱く。達しやすいテイトのことだ、そう体力も使わずに済む。
「んん」
「逝けよ」
耳朶を甘噛しながら囁くと手の動きを激しくし射精を促す。
「ん……」
テイトも熱い息を吐きながら手の動きに合わせて腰を揺らす。そろそろか……
「無理、逝けない」
「何で?」
「わかんねぇ」
いつもなら一人でさっさと頂点に達して夢の中へ誘われていくテイトが珍しく苦戦している。逝きたいけど逝けないらしい。体を起こしてオレが覗き込むと目に涙を溜めている。このままでは体の熱は納まらないだろう。
ほんの悪戯心がテイトを苦しめてしまったことを申し訳ないと思うが、罪悪感を欲求が上回る。
「フラウ、熱い……」
テイトの薄く開いた唇は艶っぽく、涎が糸を引いてシーツを濡らしている。その姿が扇情的すぎて理性の最後の糸がヒュッと音を立てて切れた気がした。
「許せ、テイト」
テイトの体を抱きしめると後ろへの愛撫を再開させた。
******
「フラウ起きろ!」
威勢のいい怒声が鼓膜を劈く。ああ、煩い。昨夜はあんなに可愛かったのに……
「熱下がったのか?」
とりあえず片目だけを少し開けて起きた事をアピールする。じゃないと次は蹴りが飛んでくる。
「下がったじゃねーよ! 何なんだよ昨日のアレは!」
「アレって」
もちろん何を指しているかは解っている。
「弱ったオレを好き勝手しやがって!」
「勝手にじゃねーだろ? オマエが欲しがるから」
「欲しがってねー!!!!!!」
暴れるテイトを落ち着かせようと首根っこを捕まえてポスッと懐に収める。這い出ようとするテイトを押さえつけ額に手を当て熱が下がったか確かめた。
「熱は下がったみてーだな」
「……」
昨夜の事があったから心配したが汗をかいたのが返って良かったのかもしれない。いや良くないか……
それはそうと一晩寝て治すとは大した回復力だ。おかげでカペラにも面目が立つというもの。脳裏をカペラの泣き顔が掠めて行く。
「治ったんなら、早くカペラに元気な顔見せてこい!」
「!!!!」
オレの一言で不機嫌だった顔が一瞬にして輝いた。まったく、現金な。誰のおかげで熱が下がったと思ってんだよ。テイトに無理をさせないように細心の注意を払ってやったんだぞ。まぁ、事の発端はオレのせいだが……
少しはオレにも感謝の念をだな、態度で示すとか、体で返すとか……
一瞬視界がぼやけて唇に何かがぶつかった。
「ありがと、フラウ」
そう言ってテイトはひらりとオレの上から降りると扉の向こうへ消えていった。
意表を突かれたテイトからのキスに顔がにやける。昨夜のに比べたら可愛もんだが……
それにしても……
「相変わらずキスが下手だな」
END
※やっだ、アタシってばナニ書いてんだろっ (´ー`)┌フッ