蜜月9「嫌」
※性描写ありです。しかも中途半端に鬼畜攻です。
オレは今、フラウと絶賛喧嘩中だ。喧嘩といってもフラウが勝手に拗ねているだけでオレは別に怒っているわけではない。事の発端はオレが寝言でミカゲの名前を言ったとかで、それがフラウには面白くないらしい。面白くないと言われても、寝ている間の自分の事はどうにもできないじゃないか!
「オマエが切なそうにミカゲの名前呼ぶとゆうことは潜在意識の中にミカゲへの思いがあるということだ!」
そう言うとフラウは腕を組みうなずいてみせる。何だそのパフォーマンスは?オレにどうしろと?そもそも、もう、居ないミカゲに何故嫉妬する?そう、人としてのミカゲはこの世界に存在しない。その考えに至ると確かに切なくなるし、無性に会いくなる。この感情がいけないのだろうか?だってしょうがないだろう?ミカゲはオレの親友だ!
「ま、しょうがないよな。オレはミカゲには敵わないよ・・・」
フラウはそう言うと切なそうに笑った。敵うとか敵わないとか関係ないだろ?フラウとミカゲを比べたことは一度も無いぞオレは!
拗ねたフラウはそれからオレと口を訊いてくれない。会話の全てをカペラに代弁させ、何かの遊びだと思ったカペラは嬉々としてその役をこなしている。
「テイト兄ちゃん『さっさと飯食え!』って、フラウ兄ちゃんが言ってる」
何も知らないカペラはいつもの満面の笑みでオレに伝えるとフラウに伝える為にオレからの返答を待っている。仕方なくオレからの返事を耳打ちするとカペラは嬉しそうに頷き「『うるせ〜フラウこそ、とっとと仕事に行け!』」と、笑顔でフラウに言い放った。
カペラに悪気はない。しかし、自分から始めた事とはいえ、可愛いカペラに言われるとかなり傷つく一言だったに違いない。
「じゃ、行ってくる」
部屋から出て行くフラウの後姿を少し可哀想に思いながらオレは溜息をついた。
まったくいつもは自分は大人だとか言って人を子供扱いしてるくせに、フラウが一番ガキじゃないか!
フラウのことだから夕食の頃には機嫌も直るだろう・・・と、思ったのだが甘かった。結局、フラウの機嫌は直らず、オレとは一言も口を訊かないまま夜のお勤めに出かけていった。
「で、まだ、怒ってるわけ?」
「怒ってないよ」
フラウがやれやれといった調子で答える。
ソファーにふんぞり返るフラウをダイニングテーブルを挟んで睨みつける。いい加減フラウの態度に頭にきたオレは仕事明けで帰宅したフラウをリビングで待ち構えた。カペラは隣の寝室で夢の中、当然フラウの代弁はできない。
「オマエと距離を置こうと思ってな。で、少しはオレの気持ち解ったか?」
いたずらっ子のように口の端を上げて笑った。フラウの気持ち?解るわけないだろう?解って欲しけりゃ口で言え!
「フラウの?全然・・・言いたい事があるならハッキリ言えよ!」
「・・・もういいよ・・・テイト、こっちおいで・・・」
フラウが自嘲気味に微笑むとオレの方へと力なく手を伸ばした。オレはその手に吸い寄せられるようにフラウの首に飛びついた。
何かがおかしい・・・一方的に拗ねていたのはフラウなのに、オレのことを勝手に避けていたくせに、フラウに避けられて怒っていたはずのオレがフラウに避けられて淋しくてたまらなかったみたいじゃないか?
「どうした?テイト?オレに避けられて淋しかったとか・・・?」
「そんなんじゃない!」
ズバリ言い当てられてオレは慌てて否定する。
「じゃ、オレのご機嫌取りのつもりか?」
「なんで、そうなるんだよ!」
「たまにはオマエからキスしろよ。ちゃんとしたヤツ」
命令口調のフラウに一瞬戸惑ったがオレは言わた通りフラウの口元へと自分のを押し当てた。
「それだけ?」
フラウの眼が冷気を帯びたように青白く光り、先を即すように舌をちらつかせる。オレは再び閉じたフラウの唇に自分の舌を割りいれフラウの舌を追いかけるようにフラウの唇に吸い付いた。
「テイト、オレがミカゲとどう違うのかオマエの体で釈明しろよ」
そう言うとフラウはオレの下着を剥ぎ取ると上に跨らせオレの手に小瓶を握らせた。何だよ、これ?自分でしろってのか?オレはフラウを睨み付けた。
「できないのか?テイト?」
フラウの眼が楽しそうに見えるのはオレの気のせいか?フラウの手中に完全に嵌ったと解っているのに何故か抗えない。
「煩い、それぐらい・・・」
フラウに跨り膝立ちのオレの体を冷たい手が支える。オレはオイルを手に取るとフラウの肩に左手を置き右手を後ろへと回した。いつもはそれなりに抵抗するその行為を自分自身でしている。フラウの指の動きを真似して自分の指を動かすが、フラウの時みたいな刺激が自分ではちっとも得られない。フラウの視線がチクチクと針のように突き刺さりオレの欲情を昂らせる。
「どうした?テイト?自分じゃ物足りない?」
そう言うとフラウは冷酷な笑みを浮かべた。
「・・・ん・・・何で・・・」
「何でって?オマエが好きだから」
いきなりフラウの指が押し込まれる。
「ん・・・やだっ」
「しっかり広げないと後が辛いぞ」
いつもは優しいフラウがまるで別人のようだ。そうだ、フラウはいつも優しいのに・・・
「嫌だ・・・こんな、フラウ・・・」
堪らず手を止めてフラウの肩に額を付ける。
「そんな顔しても無駄だテイト。ちゃんとやって」
フラウはオレの手をベルトのバックルに導いた。仕方なくベルトを外し、フラウを中心へ宛がう。
「ん・・・痛・・・」
ある程度解しはしたがフラウを受け入れられるほどでは無い。
「痛い?テイト・・・でも、このぐらいしないとオマエは解らないだろ?」
「やめっ!!!」
痛がるオレを無視して容赦なく突き進む。
「力抜け、テイト」
「うっ・・・」
いつものフラウならオレが痛がることはしないのに・・・そう思うと堪えていた涙が一気に溢れ出した。
「なんで・・・こんな・・・」
突然自分がモノの用に扱われてる気がして堪らなくなった。フラウの眼にちゃんとオレが映っているのだろうか・・・?
「ん・・・もう・・・止め・・・フラウ・・・」
「テイト、好きだよ」
「だったら、何で・・・こんな・・・」
「オマエは?オレを好きか?」
好きだよ!ずっと一緒に居たいって思うよ!でも、こんなのはヤダ!
「テイト?」
「好き・・・」
「こんな扱いされても・・・?」
コクっと頷くと大粒の涙がフラウの頬へと落ちた。
次の瞬間、フワリと体が浮き上がるとフラウの膝の上に抱きかかえられた。
「悪かった・・・」
フラウにそう耳元で囁かれギュッと抱きしめられる。
「意地悪してゴメンな・・・痛かったか?」
フラウの透き通るようなブルーの瞳が心配そうに覗き込む。いつもの優しい眼差しに安堵したのもつかの間、オレはソファに押し倒された。
「止め・・・」
「安心しろ・・・オマエは気持ち良くなってればいいから・・・」
フラウに切れた感部を舌でなぞられる。
「やだ・・・」
「好きだ、テイト」
そう言うとフラウの指が優しく額を撫でる。
「もう、あんな真似しないから・・・」
優しいフラウの言葉に体の強張りが解けて逆にフラウの舌に神経が集中する。
「フラウ・・・」
中心を行き来するフラウの舌と指に心も体も溶かされる。もっと奥へ来て欲しい。
「ん・・・もうっ・・・フラウ!」
無理やり押し込まれた先ほどとは逆にフラウ自身を受け入れたくてしかた無いのに焦らされる。
「早く・・・フラウっ」
フラウを欲して自然と腰が揺れる。
「テイト、欲しい?」
「ん・・・」
頷くオレにフラウが優しく口付ける。
「あふ・・・」
口から熱い息が漏れる。
「あっ・・・」
直も焦らすように先端だけが埋められる。
「もっと・・・あっ」
フラウがオレの体を抱き起こすと無抵抗なまま一気に飲み込んだ。
「いい?」
「訊くな・・・バカっ・・・あ」
更にフラウが最奥を狙って突き上げる。
「や、動く、な」
フラウの胸板に体を預け呼吸を整える。
「テイト、こっちは自分でやって」
そう言うとフラウに自身を握らされる。いつもは自分でするなとか言うくせに・・・
「見るな・・・」
腰を揺らすリズムと一緒に指を絡ませる様をフラウは花を観賞するかのように眺めている。
「ん、んん」
そんな視線が恥ずかしいと思うのに手の動きも何もかも止めることができない。
「あ、もう・・・」
自分でいくら動いても中の疼きは収まらず一層高まるばかりだ。
「フラウ・・・いい加減、てめーも、動け!」
「動くなって言わなかったか?」
「・・・フラウっ!・・・ああ」
突然下から突き上げられ、オレが短い悲鳴を上げた。フラウがオレの喘ぎを飲み込むように口付ける。腰を容赦なく打ち付けられそれによって零れる悲鳴は全てフラウに吸い込まれていった。
「ん?フラウ、言ってる意味が解らねぇ〜」
「だから、オマエの寝言なんてのはいつもの事でミカゲを呼ぶ時もあれば熱っぽくオレの名前も呼ぶときもあるっての・・・」
「それじゃ、なんで拗ねた真似なんかすんだよ!」
「え〜偶にはいいじゃないか」
全てはフラウの演技だったのだ。フラウは演出だとか言ってるが、ふざけるな!
「オ、オレがどんな思いで・・・・オマエに・・・」
再び怒りが込み上げて握りこぶしを三倍にしてこのアホを殴りたい衝動に駆られる。
この衝動は抑えるつもりは更々無いがそれでもオレの怒りは収まらないだろう。
『死ね!』
『エロ司教!』
『クタバレ!』
「なあ、テイト。カペラにあんまり汚い言葉を言わせるなよ」
『煩い!黙れ!エロじじい』
「おっと、流石にそれは傷つくぞ〜カペラ〜」
「あい?」
「カペラ、オレとテイトが離婚するって言ったら、どっちにつく?パパか?ママか?」
「誰が、パパだ!このアホ〜!」
「わ、止めろテイト!オレが悪かったって!ああ”〜ァァ」
はぁ〜はぁ〜・・・オレの息が上がっているのはフラウを窓から蹴り飛ばしたせいだ・・・それでもオレの怒りは収まらない!
「ああ、もう!」
今ならこの怒りでミカエルの瞳を発動させられる気がする。オレは瞳の無い手の甲を撫でると気持ちを落ち着かせた。
しかも、多分、惑星規模で破壊しそうな・・・
Fin