蜜月8「XXX」
※「キスとトリュフ」の続きです。



「テイト、そんなところで寝てたら風邪ひくぞ」
 ピタピタと頬を叩かれた。
「ん・・・?」
 オレはいつの間にか居間の長椅子で寝てしまったようだ。
「ったく、寝るならベッドで寝ろ!」
 ムカッ!偉そうに!いったい誰のせいで此処にいると思ってんだよ!
 オレは寝返りを打つとソファの背もたれに顔をくっ付けた。
 もういい、オレはこのまま此処で寝る!
「なんだ?テイト?不貞寝か?」
 ほっとけ!だいたいフラウが寝るなって言うからこうして此処で待ってたんだろうが!
「狭いな」
「!!」
 フラウがオレに圧し掛かるように覆いかぶさった。
「重い・・・」
「しょうがないだろ」
「わっ!」
 首筋を這う冷たい舌の感触に思わず短い悲鳴を上げた。
「テイト、こっち向け」
「やだっ!」
 とてもじゃないが、今の顔はフラウに見せられない!きっと首まで真っ赤だし、目尻に涙も溜まってる。ついでに言うなら心臓は飛び出しそうなぐらいドキドキしてるし下腹部にささやかながら反応がある・・・ああ、まったく、情けない様だ。
「なんだ〜、誘っておいてそれはないだろ!」
「だ、誰が誘ってんだよ!」
 聞き捨てならない言動に思わず体を捩ってフラウに向き合った。
「オマエ!」
「さ、誘ってない!」
「じゃ、これはなんだよ」
 フラウがちょんと張り出したモノを突く。
 そんなとこ突くな!バカ!
「・・・・・」
「ほら、唇噛むなって、血が滲んでるぞ」
 フラウの舌がスーッと唇をなぞる。
「んん・・・」
 次の瞬間にはその舌に自然と吸い付いていた。
 しまった、条件反射でつい・・・って、そんなことに条件反射してしまうほどフラウとキスしてるのか?オレは!
「お。今日は積極的だな」
「・・・・・」
 べ、別に積極的なわけじゃない!
 オレは調子付いてるフラウを睨みつけた。いたいけなオレをこんなにしやがって少しは反省しろ!
「う、ヤベー、マジで可愛いよ、オマエ!」
 そう言うなりギューっと抱きしめられる。何コレ?オレの睨みは逆効果なのか?
「ちょっと、フラウ。くるしぃ・・・ん、ん」
 オレは自由を奪われ、さらに唇をふさがれた。苦しいって!少しは加減しろ!
「今日は優しくしてやろうと思ったが気が変わった」
 フラウの眼がいつも以上に獣染みてギラギラしてるいる。そんな眼でオレを見下ろすな!
「な、何?」
「煽ったオマエが悪い!」
 いやまて、オレはこれっぽっちも煽った覚えはない。
 フラウはソファとオレの上から降りるとひざまづいた。
「フラウ?」
 ニヤリと笑うと下着を下ろされオレのを口に含んだ。
「ぎゃ〜」
「騒ぐな!カペラが起きるぞ」
 咥えたまましゃべるな!
「ダメ、フラウ」
 ハッキリ言ってオレはその行為は苦手だ!そんなモノ、口に入れるなんてオレにはできないし、やられるのもゴメンだ!
「なんだよ。気持ち良くないか?」
 舌で突くな!舌で!
「もぅ、やめ」
 オレは恥ずかしさのあまり両手で顔を覆った。
「テイト、顔を見せろ」
 そう言うとフラウはオレの腕を掴んだ。
 顔を覆った腕を剥がされたオレはフラウを睨みつける。
「いい顔だ」
 フラウがいやらしい目つきでオレを見上げる。当然、ヤツの口元は忙しなく動いたままだ。
「バ、バカ!」
 フラウの眼と唇、舌の動きが視界に入り、恥ずかしいのに気持ちは昂って射精感が駆け上がった。
「もう、やだっ。フラウ!」
 オレはフラウの手かせを振りほどこうと必死にもがいた。
「ダメだ。逝く時の顔がみたい」
「フラウ!」
 なんてヤツだ!なんてヤツだ!×10!
「ん、ん」
「テイト」
「アッ・・・ツッ・・・」
 先を即すように突かれあっけなく達してしまった。


「もう、ヤダって言ったのに!」
「なんだ、本気で嫌がっていたのか?」
「当たり前だ!あんなこと!」
「気持ちよかっただろ?」
「・・・・・」
 もう、呆れて言葉もでねーよ。このエロオヤジが!
 オレが黙り込むとむりやり唇を押し当て強引に舌をねじ込まれた。
「ん・・・苦ッ」
「オマエのだ。我慢しろ!」
「オエッ!」
「オマエな〜。別にオレにもしろって言わないだけありがたく思えよ」
「できるか、バカっ」
「ま、そのうちオマエから進んでする日が来るさ」
 そう言うとフラウはニヤニヤとヤラシイ笑いを零した。勝手に妄想するな!
「ぜって〜そんな日は来ね〜」
 オレはフラウを押し返すとソファから立ち上がった。もう、遅いしそろそろ寝ないと・・・その前にシャワー浴びて・・・
「テイト」
「わっ」
 フラウに腕を捕まれ再びソファに押し倒された。
「フラウ・・・もう、遅いし。寝よ」
「それは無いだろ?オレのコレはどうなる?」
 フラウがオレのとは比べ物にならない程の・・・を指差した。
「何だよ!オレには無理だからな!」
「誰もオマエに咥えろとは言わないさ」
 これ見よがしに例の小瓶を振りかざす。言いたいことは十分解った。
 フラウの為に起きていたのにオレはフラウに何もしてやってないからな・・・
 オレは覚悟を決めてフラウを見つめた。
「オレのコレはオマエの下のお口で・・・」
 バキッ!
 オレの右ストレートが綺麗に決まった。フラウに対して同情の余地はない。
 な、何が下のお口だ・・・恥ずかしい!
 そこで朝まで延びてろ!
 オレは清々しい気分で浴室の扉を開けた・・・




Fin